技術開発

ロール式ゲート

製品開発の背景分水工のゲートの開度調整経済性・分水特性と評価耐久性水理特性ロール式ゲートの基本構造

管路の漏水調査

原理調査方法データ解析
技術開発

ロール式ゲート
ロール式ゲート
ロール式ゲート

製品開発の背景
分水工内の水位変動に影響されず、定比分水を得る一手法に、分岐水路の取入れ扉幅の可変制御が考えられます。
ゲート扉体の開閉を上下方向から水平方向に変えれば、敷幅の可変制御はできますが、規模が大型化する欠点があります。
写真のフィルム状にゲート扉体を格納できれば、規模は小型にできますが、扉体強度と止水性の確保が課題です。

この課題を解決したのが当社が開発したロール式ゲートです。

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分水工のゲートの開度調整
一か所の分水工で同時に多方向へ分水を行うとき、従来型のスライドゲートでは、1つのゲートを操作する度に分水工内の水位が変動します。この水位変動は非常に厄介なものでほかの分水量に影響します。このため、ゲート開度は試行操作で設定しているのが現状です。 分水工のゲートの開度調整
ロール式ゲートを分水工に採用すると、分水比の決定は敷幅によって調整できるので、分水工内の水位に影響されることなく、所定の分水比が一度の操作で確実に得られます。

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経済性・分水特性と評価
経済性
当社の試作した仕様寸法で、制作費・据付費を他の型式と比較すると、次のとおりです。

コスト 単位:千円
2.6m3/sタイプ スライドゲート ロール式ゲート オリフィスゲート
扉体 1,500 300 4,200
戸当たり 500 2,100
水密装置 - 600
開閉機 1,300 1,600
据付け 1,000 400
門柱工事 220 -
総合 4,520 5,000 4,200
  スライドゲート ロール式ゲート オリフィスゲート

分水特性
  スライドゲート ロール式ゲート オリフィスゲート
水温確保 ×
分水管理
計量管理
維持管理
耐久性
コスト

現状の評価
分水比率が安定している分水工では、オリフィスの優位性は不動です。しかし、分水比率が流動的で大規模な農業の基幹施設では、分水比を敷幅で管理・調整できるロール式ゲートが威力を発揮します。

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耐久性
2年間の現地耐久試験の結果は次のとおりです。
装置の一部にウォームシャフトを採用していますが、シャフト全体を蛇腹ゴムでカバーしているため、溝の目詰まりによる操作障害は起こしません。

扉体の操作荷重は経年変化による操作障害を起こしません。
耐久性
耐久性

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水理特性
ロール式ゲートの端縁部は、刃型加工(扉体部を除く)を施しています。そのため、計量堰並みの精度が期待できます。

精度を検証するために行った水理実験の結果、JIS規格の式を補正した下式により、流量を計測できます。
水理特性
JIS規格の式を補正した式

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ロール式ゲートの基本構造
試作型(FG-mod.3)の仕様
ロール式ゲートの基本構造

特徴
扉体に使用したゴムの耐水圧強度を向上させるために、鉄芯を内包しています。

ゲートのユニット化により、従来の戸当り工事が不要です。ユニットを現地に安定させて、すき間をモルタル等で充填すれば完了です。

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相関式漏水探知機による圧力管路の漏水調査
原理
漏水地点で発生した低周波は管路を伝わって,異なる2地点に設置されたセンサーに記録されます。そのデータをパソコンに取込み,波形の照合と伝達時間の差を計算し、位置を特定します。

漏水が発する低周波は継続的に発生し,途切れることがないため他の雑音との分離が容易で,2ケ所の観測点で得られた波形の相関(類似)性はFFT変換*)で解析します。漏水音の伝播速度は管種・管径ごとに固有の値を持つため,センサーから漏水地点までの距離は(1)式で表すことができます。
相関式漏水探知機の原理 
ここに、v:伝播速度 Δt:到達時間t1とt2の差

漏水があると判断する基準値は相関率で評価しますが,観測条件が良い場合(雑音・騒音が無い)は相関率の高い値を示します。
【探知機のセット内容】
探知機のセット内容
相関式漏水探知機は,6個のセンサーにより最大で5区間の漏水を同時観測することが可能です。

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調査方法
調査区間によってはセンサーを設置可能な施設が無く1km以上となる場合があります。このときの調査方法として管体非接触による調査が可能です。非接触手法とは下の写真に示すとおり,管水路の直上にφ16mmの調査棒を貫入させて,任意の観測ポイントを仮設する調査方法です。
【センサーの設置状況】
センサーの設置状況

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データ解析
現地で検知した低周波の振動波形。様々な周波数帯の振動を検知し、そこから漏水特有の振動波を抽出します。
【現地調査でのデータ記録(低周波)】
現地調査でのデータ記録(低周波)
管径、管種、分岐状況など基礎調査で把握された与条件と独自のノウハウを活用し、漏水位置を確定させます。

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